ダニエル QT17 20201203木【礼拝の回復】ダニエル8章1-14
ダニエル8章1-141 ベルシャツァル王の治世の第三年、初めに私に幻が現れた後、私ダニエルにもう一つの幻が現れた。2 私は幻の中で見た。見ていると、私はエラム州にあるスサの城にいた。なお幻を見ていると、私はウライ川のほとりにいた。3 私が目を上げて見ると、なんと、一匹の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって、この二本の角は長かったが、一本はもう一本の角よりも長かった。その長いほうは、後に出て来たのであった。4 私はその雄羊が、西や、北や、南の方を角で突いているのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、それから救い出す者もいなかった。雄羊は思いのままにふるまって、高ぶっていた。5 私が注意して見ていると、見よ、一匹の雄やぎが、地には触れずに全土を飛び回って、西からやって来た。その雄やぎには、際立った一本の角が額にあった。6 この雄やぎは、川岸に立っているのを私が見た、あの二本の角を持つ雄羊に向かって、激しい勢いで突進した。7 見ていると、この雄やぎは雄羊に近づき、怒り狂って雄羊を打ち倒して、その二本の角をへし折ったが、雄羊にはこれに立ち向かう力がなかった。雄やぎは雄羊を地に投げ倒して踏みつけた。雄羊をこの雄やぎから救い出す者はいなかった。8 この雄やぎは非常に高ぶったが、強くなったときにその大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、際立った四本の角が生え出て来た。9 そのうちの一本の角から、もう一本の小さな角が生え出て、南と、東と、麗しい国に向かって、非常に大きくなっていった。10 それは大きくなって天の軍勢に達し、天の軍勢と星のいくつかを地に落として、これを踏みつけ、11 軍の長に並ぶほどになり、彼から常供のささげ物を取り上げた。こうして、その聖所の基はくつがえされた。12 背きの行いにより、軍勢は常供のささげ物とともにその角に引き渡された。その角は真理を地に投げ捨て、事を行って成功した。13 私は、一人の聖なる者が語っているのを聞いた。すると、もう一人の聖なる者が、その語っている者に言った。「常供のささげ物や、あの荒らす者の背き、そして聖所と軍勢が踏みにじられるという幻は、いつまでのことか。」14 すると彼は答えて言った。「二千三百の夕と朝が過ぎるまで。そのとき聖所の正しさが確認される。」 二本の角を持つ雄羊はメディアとペルシア帝国です。二本のうち一本の角が出てきますが、後に出てきた角が前の角より大きくなります。後の者が先になり、先の者があとになるのは世界の秩序です。初期にはペルシアよりメディヤが大きかったですが、紀元前550年にペルシアのクロスがメディヤを占領してペルシアが主導権を持ちます。 二本の角を持つ強いな雄羊(メディア・ペルシア帝国)がありますが、西から雄やぎ現れます。西というのは、ヨーロッパ大陸のマケドニア、雄やぎはギリシヤ帝国、そして、そのやぎの目の間にある角は、アレキサンダー大王を指します。 先の王は殺害され、20歳にマケドニアの王になった幼いアレキサンダーは10年ぶりに世界を征服します。実に大王と呼ばれるのにふさわしい人物です。三つの大陸、アフリカ、ヨーロッパ、アジアにつながる広大な帝国を遂げたの征服者です。伝わるエピソードによれば、それ以上征服する土地がないということで泣いたそうです。 そしてもう一つのエピソードは彼の死です。不世出の征服者は不運にも33歳の年に熱病にかかって道端で死にます。アレキサンダーの遺言は「私が死んだら、私の手を棺の外に出して、人々が見ることができるようせよ」ということでした。天下を所有し、自分も死ぬとき素手で来て素手で去るという告白でした。 アレキサンダーの死による混乱の中、アレキサンダーの息子らは殺され、ギリシヤ帝国は、4つに分かれてしまいます。これが8節にある四つの角です。この四つの角のいずれかから、小さな角一つがもう一つ出てきますが、それがセレウコスの王アンティオコスです。アンティオコスの時代は、紀元前2世紀ですからユダヤ人がパレスチナに戻ってからも350年以上が経つ未来です。 この小さな角は、ユダヤ人を虐殺し、大祭司を暗殺し、神殿礼拝を廃止しました。紀元前167年12月にアンティオコスは、エルサレムの神殿でゼウスのために祭壇を築き、そこでユダヤ人が嫌悪する豚を捧げて神殿を汚しまいた。 13節の「荒らす者の背き」とは、アンティオコスが神の神殿を汚したことです。 聖なる存在が互いに「常供のささげ物や、あの荒らす者の背き、そして聖所と軍勢が踏みにじられるという幻は、いつまでのことか」と聞きます。歴史的な答えであれば、ユダヤのマッカビが独立運動を起こし、3年ぶりに神殿を奪還し、清めた紀元前164年です。 ということで今日の本文は、メディア・ペルシアの時代から始まってギリシャとアンティオコスが没落し、神殿を清めるマッカビの時代までを預言したものです。計算してみると、400年程度の期間です。マッカビがアンティオコスを追い出し、神殿を清め、礼拝を回復したことを記念すること来週12月10日から始まる、イスラエルの盛大な祭りのハヌカです。 ユダヤ人はマッカビの時から、神殿で礼拝することができましたが、紀元後70年に再びローマによってその神殿は崩壊します。そして、現在まで神殿はありません。したがって、2020年の今日から見れば、まだ神殿と礼拝は回復してないのです。 私たちは、12月にハヌカではなく、クリスマス、つまりキリストの降誕をお祝い、礼拝します。神の子キリストが礼拝の回復のために、私たちに来られたからです。エルサレムの神殿は存在せず、仮に存在するとしても、それは人の手で造られた建物に過ぎません。クリスマスはキリストを通して神様への礼拝を回復した主の民の祭りなのです。