創世記 黙想54【ベンヤミンを送るヤコブ】221102(水) 枝川愛の教会
創世記 43:1~1443:1 さて、その地の飢饉は激しかった。43:2 彼らがエジプトから持って来た穀物を食べ尽くしたとき、父は彼らに言った。「また行って、われわれのために食糧を少し買って来てくれ。」43:3 すると、ユダが父に言った。「あの方は私たちを厳しく戒めて、『おまえたちの弟と一緒でなければ、私の顔を見てはならない』と言いました。43:4 もし弟を私たちと一緒に行かせてくださるなら、私たちは下って行って、お父さんのために食糧を買って来ましょう。43:5 しかし、もし彼を行かせてくださらないなら、私たちは下って行きません。あの方は私たちに、『おまえたちの弟と一緒でなければ、私の顔を見てはならない』と言ったのですから。」43:6 イスラエルは言った。「なぜ、おまえたちは、自分たちにもう一人の弟がいるとその方に言って、私を苦しめるようなことをしたのか。」43:7 彼らは言った。「あの方が私たちや家族のことについて、『おまえたちの父はまだ生きているのか。おまえたちには弟がいるのか』としきりに尋ねるので、問われるままに言ってしまったのです。『おまえたちの弟を連れて来い』と言われるとは、どうして私たちに分かったでしょうか。」43:8 ユダは父イスラエルに言った。「あの子を私と一緒に行かせてください。私たちは行きます。そうすれば私たちは、お父さんも私たちの子どもたちも、生き延びて、死なずにすむでしょう。43:9 私自身があの子の保証人となります。私が責任を負います。もしも、お父さんのもとに連れ帰らず、あなたの前にあの子を立たせなかったら、私は一生あなたの前に罪ある者となります。43:10 もし私たちがためらっていなかったなら、今までに二度は、行って帰れたはずです。」43:11 父イスラエルは彼らに言った。「それなら、こうしなさい。この地の名産を袋に入れ、それを贈り物として、その方のところへ下って行きなさい。乳香と蜜を少々、樹膠と没薬、ピスタチオとアーモンド、43:12 また二倍の銀を持って行きなさい。おまえたちの袋の口に返されていた銀も、持って行って返しなさい。おそらく、あれは間違いだったのだろう。43:13 そして、弟を連れて、さあ、その方のところへ出かけて行きなさい。43:14 全能の神が、その方の前でおまえたちをあわれんでくださるように。そして、もう一人の兄弟とベニヤミンをおまえたちに渡してくださるように。私も、息子を失うときには失うのだ。」 兄弟たちがエジプトに行ってきた後、かなりの時間が経ちました。シメオンがエジプトに人質に取られており、シメオンを釈放するためにはベニャミンを送らなければなりませんが、ヤコブは最愛のベニャミンを送りませんでした。そのうちにエジプトから持ってきた食糧がなくなったので、もう一度エジプトに行って食糧を買わなければなりません。ユダが出てきてすべての責任を自分が負うと言い、ベニャミンを送る父親の決断を促します。結局、ヤコブはすべてを諦めるような思いでベニャミンを出します。それはシメオンを救うためでもなく、ベニャミンを守るためでもありませんでした。飢饉から家族全体を救うためです。生き残らなければならない使命は、何よりも切迫して優先していたことでした。 ヤコブがヨセフを他の兄弟より愛し、そのえこひいきが産んだことが悲劇的なヨセフの事件であるなら、ヤコブが今やベニヤミンを渡して家族全体を生かすために決定をしたことが悲劇的なヨセフ事件は解決する手がかりになります。もちろん、ヤコブはこれから起こることの全貌について知らないのですが、ヤコブが執着を捨てる決定をしてからシメオンも生き、ベニヤミンも生き、ヤコブ自身も生き、家族全体が生き、ヨセフと再会することになります。ヤコブの苦労は終わらないのです。しかし、ヤコブはこの危機を通してもう一度神様を経験します。何かを決めにくい危機状況の中で、隠れている神様の恵みを信頼し、神様の御旨に従って全てを決めていくようにと祈ります。