創世記 黙想55【ベンヤミンの窃盗容疑】221102(水) 枝川愛の教会
創世記 44:1~1344:1 ヨセフは家を管理する者に命じた。「あの者たちの袋を、彼らが運べるかぎりの食糧で満たし、 一人ひとりの銀を彼らの袋の口に入れておけ。44:2 それから、私の杯、あの銀の杯は、一番年下の者の袋の口に、穀物の代金と一緒に入れておけ。」彼はヨセフのことばどおりにした。44:3 明け方、一行はろばとともに送り出された。44:4 彼らが町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家を管理する者に言った。「さあ、あの者たちの後を追え。追いついたら、『なぜ、おまえたちは悪をもって善に報いるのか。44:5 これは、私の主君が、飲んだり占いをしたりするときに、いつも使っておられるものではないか。おまえたちのしたことは悪辣だ』と彼らに言うのだ。」44:6 彼は追いついて、このことばを彼らに告げた。44:7 彼らは言った。「あなた様は、なぜ、そのようなことをおっしゃるのですか。しもべどもがそんなことをするなど、あり得ないことです。44:8 袋の口で見つけた銀でさえ、カナンの地からあなた様のもとへ返しに来たではありませんか。どうして、あなた様のご主人の家から銀や金を盗んだりするでしょう。44:9 しもべどものうちで、それが見つかった者は殺してください。そして、私たちもまた、ご主人の奴隷になります。」44:10 彼は言った。「今度も、おまえたちの言うことはもっともだが、それが見つかった者は私の奴隷とし、ほかの者は無罪としよう。」44:11 彼らは急いでそれぞれ自分の袋を地面に降ろし、それぞれその袋を開けた。44:12 彼は年長の者から調べ始めて、年下の者で終えた。すると、その杯はベニヤミンの袋から見つかった。44:13 彼らは自分の衣を引き裂いた。そして、それぞれろばに荷を負わせ、町に引き返した。 ヨセフは、ベンヤミンのかばんに銀の杯を入れてカナンに帰る兄弟たちを窃盗の疑いで逮捕します。兄弟たちはもちろん、ベンヤミンは銀の杯を盗んでいません。ヨセフが作った落とし穴です。考えてみればヨセフの悲劇は兄弟たちの妬みと利己主義に染まった暴力性のためでした。ヨセフは、その恨みと復讐の鎖を断ち切らなければならないと考えています。ヨセフ自身は赦しと和解の準備ができています。 ただ、兄弟たちの変化がカギです。ヨセフは窃盗の疑いで危機に瀕したベンヤミンに対して兄弟たちがどのように反応するかを見たかったのです。ヨセフを売った当時の兄弟たちなら、自分が生きるためならいくらでもベンヤミンを捨てていくような人々でした。今、ヨセフは彼らの変化を求めています。 誰かが犠牲にしなければ、この問題は解決できません。家族共同体の絆は回復しません。それぞれ母親が異なる兄弟は、母系によって分派に分かれていました。確かにヤコブが12人の子どもを産みましたが、ヨセフはその兄弟を一つに統合し、真のイスラエルにしています。共同体は危機の中で構成員の犠牲によって共同体性は確認され、堅くなっていきます。