Ⅰサムエル 黙想36【王の授業】230314(火) 枝川愛の教会
Ⅰサムエル 22:11~2322:11 王は人を遣わして、祭司アヒトブの子アヒメレクと、彼の父の家の者全員、すなわち、ノブにいる祭司たちを呼び寄せた。彼らはみな、王のところに来た。22:12 サウルは言った。「聞け、アヒトブの子よ。」彼は答えた。「はい、王様。ここにおります。」22:13 サウルは彼に言った。「おまえとエッサイの子は、なぜ私に謀反を企てるのか。おまえは彼にパンと剣を与え、彼のために神に伺い、そうして彼は今日のように私に逆らって待ち伏せしている。」22:14 アヒメレクは王に答えて言った。「あなたの家来の中に、ダビデほど忠実な者が、だれかいるでしょうか。ダビデは王の婿であり、あなたの護衛兵の長であり、あなたの家で重んじられているではありませんか。22:15 私が彼のために神に伺うのは、今日に始まったことでしょうか。決して、そんなことはありません。王様。このしもべや、父の家の者全員に汚名を着せないでください。あなたのしもべは、この事件について、いっさい知らないのですから。」22:16 王は言った。「アヒメレク、おまえは必ず死ななければならない。おまえも、おまえの父の家の者全員もだ。」22:17 王は、そばに立っていた近衛兵たちに言った。「近寄って、主の祭司たちを殺せ。彼らはダビデにくみし、ダビデが逃げているのを知りながら、それを私の耳に入れなかったからだ。」しかし王の家来たちは、主の祭司たちに手を下して討ちかかろうとはしなかった。22:18 王はドエグに言った。「おまえが行って祭司たちに討ちかかれ。」そこでエドム人ドエグが行って、祭司たちに討ちかかった。その日彼は、亜麻布のエポデを着ていた人を八十五人殺した。22:19 彼は祭司の町ノブを、男も女も、幼子も乳飲み子も、剣の刃で討った。牛もろばも羊も、剣の刃で。22:20 アヒトブの子アヒメレクの息子のエブヤタルという名の人が、一人逃れてダビデのところに逃げて来た。22:21 エブヤタルはダビデに、サウルが主の祭司たちを殺したことを告げた。22:22 ダビデはエブヤタルに言った。「私はあの日、エドム人ドエグがあそこにいたので、彼がきっとサウルに知らせると思っていた。私が、あなたの父の家の者全員の死を引き起こしたのだ。22:23 私と一緒にいなさい。恐れることはない。私のいのちを狙う者は、あなたのいのちを狙う。しかし私と一緒にいれば、あなたは安全だ。」 サウルはドエグに祭司アヒメレクが逃亡中のダビデを助けたという話を聞き、アヒメレクを捕まえます。アヒメレクはサウルとダビデの不和、そしてダビデがサウル王に追われて逃げているという事実を知らずに助けただけです。それでも、すでに殺人の狂気におわれているサウルには言い訳になりませんでした。サウルはアヒメレックを反逆罪にと追い込みました。 サウルが祭司アヒメレクを殺すように命じましたが、人々ためらいます。そこでサウルは密告したエドム人のドエグの手でアヒメレクだけではなく、祭司85人を一刀で虐殺します。さらに、祭司の町であるノブに住むすべての人と獣まで残さず殺します。アマレクの時と反対です。滅ぼすべきものは滅ぼさず、守るべきイスラエルの祭司の村を虐殺し、滅ぼします。たった一人の少年が生き残り、ダビデに逃げます。アヒメレクの子エブヤタルです。ダビデは自責し、エブヤタルを守ることを約束します。 こうなると、神様がイスラエルに王政を与えようとしなかった理由が分かります。国家が国家の意思に反する集団、あるいは個人に対して公権力を使し、屈服させ、搾取することを国家暴力といいます。国民が力を合わせて権力を委任すれば国家が対外的に強くなると思いますが、その権力は内部秩序を強固にするための国家暴力に変わることがあります。国家暴力の脅威から逃げているダビデは今、その不義の権力に抵抗しているのであり、国家が保護せず、むしろ殺そうとしているエブヤタルを保護しています。ダビデは親を失ったかわいそうなエブヤタルを抱きかかえて、国家権力が何であるべきかを学んでいるのではないでしょうか。