Ⅱサムエル 黙想2 【サウルのための哀歌】-恨みまで入れる器-230411(火) 枝川愛の教会Ⅰサムエル 1章17‐27
Ⅰサムエル 1:17~271:17 ダビデは、サウルのため、その息子ヨナタンのために、次の哀歌を歌った。1:18 これはユダの子らに弓を教えるためのもので、『ヤシャルの書』にまさしく記されている。1:19 「イスラエルよ、君主はおまえの高き所で殺された。ああ、勇士たちは倒れた。1:20 これをガテに告げるな。アシュケロンの通りに告げ知らせるな。ペリシテ人の娘らを喜ばせないために。無割礼の者の娘らが喜び躍ることがないために。1:21 ギルボアの山よ。高原の野よ。おまえたちの上に、露は降りるな。雨も降るな。そこでは勇士たちの盾が汚され、サウルの盾に油も塗られなかったからだ。1:22 殺された者の血から、勇士たちの脂から、ヨナタンの弓は退くことがなく、サウルの剣も、空しく帰ることがなかった。1:23 サウルもヨナタンも、愛される、立派な人だった。生きているときも死ぬときも、二人は離れることはなく、鷲よりも速く、雄獅子よりも強かった。1:24 イスラエルの娘たちよ、サウルのために泣け。サウルは、紅の衣を華やかにおまえたちに着せ、おまえたちの装いに金の飾りを着けてくれた。1:25 ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンはおまえの高き所で殺された。1:26 あなたのために私はいたく悲しむ。私の兄弟ヨナタンよ。あなたは私を大いに喜び楽しませ、あなたの愛は、私にとって女の愛にもまさって、すばらしかった。1:27 ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器は失せた。」 ダビデはサウルとヨナタンが死んだことを悲しんで哀歌を作って歌いました。民にも歌わせました。ダビデの心の中にはヨナタンの死が悲しかったと思いますが、サウルの死には複雑な思いがあったと思います。権力を握ったサウルは自分の感情どおりに物事を処理しましたが、それから反面教師で学んだダビデは権力者の力を私的な感情に使いません。そしてイスラエルと共にサウルの死を悲しみました。 ダビデはユダ族で、サウルはベニャミン族です。ベニャミン族の人々は、自分たちの出身の王サウルの死をさらに悲しんだはずです。サウルが死んでダビデが王になれば、ベニャミン族としてはダビデが暫定的な政敵になることもあります。しかし、ベニャミン族は一緒に泣いているダビデを信頼します。後にダビデとソロモン以降に王国が分裂し、南ユダと北イスラエルに分かれる時、南ユダから十の部族が離れていきますが、ベニャミン族だけはユダ族の隣に残ります。それはベニャミンのユダ族に対する信頼を示します。憎しみと恨みまで入れ込むダビデの器は確かに偉大です。