マルコの福音書 黙想 【恐れ】 20240112(金) 枝川愛の教会 崔種碩 神学生

 今日の箇所のイエス様は一人の体に入っていた多くの汚れた霊、「レギオン」と呼ばれる悪霊を追い出し、彼を自由にする内容が書いています。 これはきっとそのつかれた人にとっても、そこの村人にとっても良いことであだったはずです。 昼夜を問わず墓場や山で叫び続けていた悪例が立ち去っていったことで、町もさらに静かになったはずだからです。

 しかし、このことを見て、聞いた村人たちの反応は私たちの考えとは少し違いました。 彼らはこのように悪霊を追い出したイエス様を一緒に地方から追い出す選択をしました。 彼らは悪霊と同じくらいに、もしかしたらその悪例よりもイエス様を恐れていたのです。

 なぜ恐れていたのか明確にはわかりません。 聖書は彼らがただその姿を見て恐れていたと記録しています。 しかし、今日の箇所のすぐ前の内容から小さなヒントを得てみると、彼らはイエス様がどのような存在なのか知らなかったから恐れていたのかも知れません。 今日の箇所のすぐ前、4章の最後で弟子たちは風と海を静めるイエス様を見て「いったいこの方はどなたなのだろうか」と恐れていたからです。

 しかし、ここで弟子たちと村人たちの選択が別れるます。 弟子たちはそのような恐れの中でも最後までイエス様についていくことを選びました。 しかし、村人たちは恐れながらイエス様を追い出すことを選びました。

 人を苦しめ、イエス様から逃げようとしたレギオンの悪霊のような存在は、もしかしたら村の人々の中に「恐れ」という別の名前で存在していたのかもしれません。 そして、その恐れは今でも残り、人々を誘惑しています。

 イエス様を信じるということ、自分の十字架を負ってイエス様に従って行く道は多くの恐れが待っている道です。 その道を行かないと享受できる、正確には享受できるように見える安らかな人生を捨てて、明らかに恐れと苦難が待っている十字架の道に従わなければならないからです。

 しかし、その結末も明確です。 この方はどなたなのだろうか分からなかったが、その道に従ってついて行った人々は、その道の最後でイエス·キリストが神の子であったことを知り、そこで真の自由を得るようになりました。 しかし、恐れに捕らわれてイエスに従わなかった人々は今もその恐れから自由にならず、また別のことを恐れながら生きていきます。

 恐れは今でも私たちの隣で私たちを誘惑しています。 イエス様の十字架の道を歩きながら出会う苦難の中で、私たちは恐れを感じるしかありません。しかし、イエス様がその恐れを私たちの中から追い出してくださったのように、私たちは再びイエス様を通してその恐れを乗り越え、その道を歩き続けることができます。

 こんな私たちに与えられた役割は、今日箇所の悪霊につかれた人や、イエス様の弟子たちと同様です。 今もなお恐れに捕らわれている人々にイエス·キリストという自由の名を宣言すること、その名前を伝えることです。もしかしたら、これがイエス様が弟子たちに与えた悪霊を追い出す権威のようなものかもしれません。