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士師記 QT32 210916木【戦争のための連合】士師記 20章 1~16

士師記 20章 1~16
20:1 そこで、イスラエルの子らはみな出て来た。ダンからベエル・シェバ、およびギルアデの地に及ぶその会衆は、一斉にミツパの主のもとに集まった。
20:2 民全体、イスラエルの全部族のかしらたちが、神の民の集会に参加した。剣を使う歩兵も四十万人いた。
20:3 ベニヤミン族は、イスラエルの子らがミツパに上って来たことを聞いた。イスラエルの子らは、「このような悪いことがどうして起こったのか、話してください」と言った。
20:4 殺された女の夫であるレビ人は答えた。「私は側女と一緒に、ベニヤミンに属するギブアに行き、一夜を明かそうとしました。
20:5 すると、ギブアの者たちが私を襲い、夜中に私のいる家を取り囲み、私を殺そうと図りましたが、彼らは私の側女に暴行を加えました。それで彼女は死にました。
20:6 そこで私は側女をつかみ、彼女を切り分け、それをイスラエルの全相続地に送りました。これは、彼らがイスラエルの中で淫らな恥辱となることを行ったからです。
20:7 さあ、あなたがたすべてのイスラエルの子らよ。今ここで、意見を述べて、相談してください。」
20:8 そこで、民はみな一斉に立ち上がって言った。「私たちは、だれも自分の天幕に帰らない。だれも自分の家に戻らない。
20:9 今、私たちがギブアに対してしようとすることはこうだ。くじを引いて、向かって行こう。
20:10 私たちは、イスラエルの全部族について、百人につき十人、千人につき百人、一万人につき千人を選んで、兵たちのための食糧を持たせよう。そしてベニヤミンのギブアに行かせ、ベニヤミンがイスラエルで犯したこのすべての恥ずべき行いに対して、報復させよう。」
20:11 こうして、イスラエルの人々はみな団結し、一斉にその町に集まった。
20:12 イスラエルの諸部族は、ベニヤミン部族全体に人を遣わして言った。「おまえたちのうちに起こったあの悪事は何事か。
20:13 今、ギブアにいるあのよこしまな者たちを渡せ。彼らを殺して、イスラエルから悪を除き去ろう。」しかしベニヤミン族は、自分たちの同胞イスラエルの子らの言うことを聞こうとしなかった。
20:14 それどころか、ベニヤミン族はイスラエルの子らと戦おうと、町々から出て来てギブアに集結した。
20:15 その日、ベニヤミン族は、町々から剣を使う者二万六千人を召集した。そのほかに、ギブアの住民から七百人の精鋭を召集した。
20:16 兵全体のうちで、この七百人の精鋭が左利きであった。彼らはみな、一本の毛を狙って石を投げても、的を外すことがなかった。

 

]ベニヤミン族のギブアの不良の者たちがレビ人の側女を死なせ、レビ人は彼女の遺体を切り分けて、12部族に送り、怒りを公論化します。イスラエルの総会でレビ人は、自分のことは隠して証言します。ベニヤミン族の悪い者らが自分を殺そうとしたと言いますが、実際にはそんなことはなかったですし、性的暴行することを知ったうえで、自分が側女を不良の者たちに引き渡した事実については言いませんでした。卑劣な人間の選択的な情報によって集団の怒りは広がります。レビという名前に「連合」という意味がありますが、祭司の部族であるレビ人は、イスラエルの平和の連合を捨て、戦争のための連合を訴えています。

 

レビ人の主張に誇張や縮小がなかったとしても、この事案は確かに重大なものです。ベニヤミン族が責任を負わなければなりません。イスラエルの11部族が集まって総会を開き、連合軍を結成してベニヤミン族を戒めることを決めました。連合軍はベニヤミン族に罪を犯したよこしまな者たちを渡すよう求めましたが、ベニヤミン族は、反省せず、責任を負わず、かえって戦争の準備に入ります。連合軍に比べると数的に劣勢でしたが、自信があったように見えます。ベニヤミン族は仲間を守るために正義と真実を裏切ったのです。

 

原則と秩序がなく、すべて感情によって引き起こされましたが、それをまとめ、仲裁するような社会的な装置はありません。人間は不完全な存在であると同時に、社会的存在であるため、社会的制度と装置が必須になります。法律と制度があるが故に悔しい思いをした人が救われ、真実が明らかになります。犯罪に対して暴力による報復ではなく、法律による正当な処罰、そして再発防止のための制度が必要です。リーダーシップとシステムがなかった時代に偏った情報や感情の対立によって殺し合う惨劇な出来事がここから始まろうとしています。