使徒の働き 9:10~229:10 さて、ダマスコにアナニアという名の弟子がいた。主が幻の中で「アナニアよ」と言われたので、彼は「主よ、ここにおります」と答えた。9:11 すると、主はこう言われた。「立って、『まっすぐ』と呼ばれる通りに行き、ユダの家にいるサウロという名のタルソ人を訪ねなさい。彼はそこで祈っています。9:12 彼は幻の中で、アナニアという名の人が入って来て、自分の上に手を置き、再び見えるようにしてくれるのを見たのです。」9:13 しかし、アナニアは答えた。「主よ。私は多くの人たちから、この人がエルサレムで、あなたの聖徒たちにどんなにひどいことをしたかを聞きました。9:14 彼はここでも、あなたの名を呼ぶ者たちをみな捕縛する権限を、祭司長たちから与えられています。」9:15 しかし、主はアナニアに言われた。「行きなさい。あの人はわたしの名を、異邦人、王たち、イスラエルの子らの前に運ぶ、わたしの選びの器です。9:16 彼がわたしの名のためにどんなに苦しまなければならないかを、わたしは彼に示します。」9:17 そこでアナニアは出かけて行って、その家に入り、サウロの上に手を置いて言った。「兄弟サウロ。あなたが来る途中であなたに現れた主イエスが、私を遣わされました。あなたが再び見えるようになり、聖霊に満たされるためです。」9:18 するとただちに、サウロの目から鱗のような物が落ちて、目が見えるようになった。そこで、彼は立ち上がってバプテスマを受け、9:19 食事をして元気になった。サウロは数日の間、ダマスコの弟子たちとともにいて、9:20 ただちに諸会堂で、「この方こそ神の子です」とイエスのことを宣べ伝え始めた。9:21 これを聞いた人々はみな驚いて言った。「この人はエルサレムで、この名を呼ぶ人たちを滅ぼした者ではないか。ここへやって来たのも、彼らを縛って、祭司長たちのところへ引いて行くためではなかったか。」9:22 しかし、サウロはますます力を増し、イエスがキリストであることを証明して、ダマスコに住むユダヤ人たちをうろたえさせた。 パウロは見ることができず、飲食も切っていました。しかし、キリスト者にとってパウロという迫害者は依然として恐ろしい存在です。まだパウロの回心の真偽が分からない状態でパウロを訪ねるのは危険を伴う冒険です。ところが、ダマスコにいたアナニアという教会の指導者がパウロを訪ねて回復させ、洗礼を授けます。それはアナニアが神様から受けたミッションでした。 いつも聞き従うためには勇気というものが必要です。 今日の本文にはアナニアのミッションが出ていますが、パウロのミッションも一緒に出ています。二人のミッションは恐いものです。「しかし、主はアナニアに言われた。「行きなさい。あの人はわたしの名を、異邦人、王たち、イスラエルの子らの前に運ぶ、わたしの選びの器です。彼がわたしの名のためにどんなに苦しまなければならないかを、わたしは彼に示します。9:15,16」 アナニアがミッションに従うためには恐ろしいパウロのところに行かなければならず、パウロがミッションに従うためにはヘブライ世界とローマ世界で荒々しい攻撃を受けなければなりませんでした。 パウロは多くの教会を建てました。しかし、パウロが建てた教会は今すべてなくなっています。時代の教会は時代とともに消え去ります。だからといって虚しいわけではありません。パウロが残したものとアナニアが残したものは同じものであって福音を持った使命者です。アナニアはダマスコのディアスポラ教会の指導者の働きで、パウロは地中海世界の開拓宣教師として歩みましたが、彼らのミッションは同で、福音の使命を持った人を立てることでした。建物と組織は時間が経つことにつれ崩れ、消えていきます。教会を建てるということは人を立てることです。その人が次の時代の使命を負って行きます。使命ある人は次の使命者に会います。