Ⅰ列王記 黙想 【権力者ソロモン】 20240425(木) 枝川愛の教会 趙鏞吉 牧師
Ⅰ列王記 9:10~289:10 ソロモンが主の宮と王宮との二つの家を二十年かけて建て終えたとき、9:11 ツロの王ヒラムが、ソロモンの要請に応じて、杉の木材、もみの木材、および金を用立てたので、ソロモン王はガリラヤ地方の二十の町をヒラムに与えた。9:12 ヒラムはツロからやって来て、ソロモンが彼に与えた町々を見たが、彼はそれらが気に入らなかった。9:13 彼は、「兄弟よ。あなたが私に下さったこの町々は、いったい何ですか」と言った。そのため、これらの町々はカブルの地と呼ばれ、今日に至っている。9:14 ヒラムは王に金百二十タラントを贈っていた。9:15 ソロモン王は役務者を徴用して次のような事業をした。彼は主の宮と自分の宮殿、ミロとエルサレムの城壁、ハツォルとメギドとゲゼルを築き直した。9:16 かつてエジプトの王ファラオは、上って来てゲゼルを攻め取り、これを火で焼き、この町に住んでいたカナン人を殺して、ソロモンの妻である自分の娘に結婚の贈り物としてこの町を与えた。9:17 ソロモンはこのゲゼルを築き直したのである。また、下ベテ・ホロン、9:18 バアラテ、この地の荒野にあるタデモル、9:19 ソロモンの所有するすべての倉庫の町々、戦車のための町々、騎兵のための町々、またソロモンがエルサレム、レバノン、および彼の全領地に建てたいと切に願っていたものを建てた。9:20 イスラエル人ではない、アモリ人、ヒッタイト人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の生き残りの民すべて、9:21 すなわち、この地に残されていた人々、イスラエル人が聖絶できなかった人々の子孫を、ソロモンは強制労働に徴用した。今日に至るまで、そうである。9:22 しかし、ソロモンはイスラエル人を奴隷にはしなかった。彼らは戦士であり、彼の家来であり、隊長であり、補佐官であり、戦車隊や騎兵隊の長だったからである。9:23 ソロモンには工事の監督をする長が五百五十人いて、工事に携わる民を指揮していた。9:24 ファラオの娘が、ダビデの町から、ソロモンが彼女のために建てた家に上って来たとき、ソロモンはミロを建てた。9:25 ソロモンは、主のために築いた祭壇の上に、一年に三度、全焼のささげ物と交わりのいけにえを献げ、それらとともに主の前で香をたいた。彼は神殿を完成させた。9:26 また、ソロモン王は、エドムの地の葦の海の岸辺にあるエイラトに近いエツヨン・ゲベルに船団を設けた。9:27 ヒラムはこの船団に、自分のしもべで海に詳しい水夫たちを、ソロモンのしもべたちと一緒に送り込んだ。9:28 彼らはオフィルへ行き、そこから四百二十タラントの金を取って、ソロモン王のもとに運んだ。 神様は、ソロモンに掟と定めを守り、偶像に仕えてはいけないと言われた。掟と定めは約束を言うことであり、その約束は道徳的規律や抑圧的な遵守義務に対するものではなく、神様が今まで導いてくださった愛を覚えること、その思いを守ることです。そのような人は偶像に仕えることはできません。神様がソロモンに偶像に仕えてはいけない、掟と定めを守ると言われたのは、立憲制で考えるならば権力者に対する憲法的要求です。法律は社会的秩序のために必要なものなので、国民を制限することがあります。その反面、憲法は権力を制限し、国民の権利と自由を保障します。すべての法律は憲法に基づいて立法されなければならず、憲法と法律は相互互換しなければなりません。矛盾を起こすことがあっても、原則の中で現実が調和するようにしなければなりません。 神様の能力と神様の栄光を表わすために、王に権力と富と知恵が必要であり、神様はソロモンにそれを全て与えました。しかし、君主制といってもソロモン個人の専有物として与えられたわけではありません。新約でイエス様と律法学者の対話でイエス様と律法学者が同意した律法の憲法的解釈があります。それは申命記の「神様を愛すること」と、レビ記を根拠にした「隣人を自分のように愛すること」です。それが数多くの律法の上に存在する第一の律法、すなわち憲法的優先順位ということです。ソロモンにとっても変わりません。自分に与えられた権限と力は、神様の民のために使わなければなりません。権力を持つ人は一様に国民のために、皆のために働くと言いますが、それは口実になり、自分自身のための道に進むことがあるからです。 ソロモンはすでに神殿と王宮を建てました。ところが、15節を見ると、「ソロモン王は役務者を徴用して次のような事業をした。彼は主の宮と自分の宮殿、ミロとエルサレムの城壁、ハツォルとメギドとゲゼルを築き直した。9:15」 ソロモンが追加で大規模な土木建築事業を起こしました。ミロとエルサレムに城壁を作り、ハツォルとメギドとゲゼルに軍事基地を建設しました。それだけではありません。 「ソロモンはこのゲゼルを築き直したのである。また、下ベテ・ホロン、バアラテ、この地の荒野にあるタデモル、ソロモンの所有するすべての倉庫の町々、戦車のための町々、騎兵のための町々、またソロモンがエルサレム、レバノン、および彼の全領地に建てたいと切に願っていたものを建てた。9:17-19」 これだけの多くの事業の裏に隠れている民の苦労は大変なことでありました。イスラエルは奴隷にしてないということですが、全民は何らかの形で動員されなければならず、それは後の分裂の原因となります。 人員だけでなく財政も確保しなければなりませんでした14節を見ると、ソロモンはヒラムに金百二十タラントをもらいます。ソロモンはダビデから金十万ダラントをもらいましたが、使い果たしたようです。 ソロモンは、ヒラムに現金支援の見返りとしてガリラヤ地方の二十の町を与えます。神様がくださったカナンの地を異邦人に売ったのです。その土地を受け取ったヒラムが土地に失望したことがあるから、ソロモンは神様の土地の売り払い、また隣人のヒラムには不当なパワハラの取引までしたようです。ソロモンは中毒ではないかと思われます。成功志向の中毒に加え、傍若無人の権力中毒です。自分の成功と業績を絶えず築きたいという誘惑です。その誘惑に陥れば、その中には神も民も入れません。イエス様が教えてくださったのは「私たちは取るに足りないしもべです。なすべきことをしただけです」です。スプリングが長く伸びることがありますが、すぐに自分のところに戻らなければなりません。