Ⅱ列王記 黙想 【三度目の五十人隊長】 20240620(木) 枝川愛の教会 趙鏞吉 牧師
Ⅱ列王記 1:9~181:9 そこでアハズヤは、五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。隊長がエリヤのところに上って行くと、そのとき、エリヤは山の頂に座っていた。隊長はエリヤに言った。「神の人よ、王のお告げです。下りて来てください。」1:10 エリヤはその五十人隊の長に答えて言った。「私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたとあなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から火が下って来て、彼とその部下五十人を焼き尽くした。1:11 王はまた、もう一人の五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。隊長はエリヤに言った。「神の人よ、王がこう言われます。急いで下りて来てください。」1:12 エリヤは彼らに答えた。「私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたとあなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から神の火が下って来て、彼とその部下五十人を焼き尽くした。1:13 王はまた、第三の五十人隊の長と、その部下五十人を遣わした。この三人目の五十人隊の長は上って行き、エリヤの前にひざまずき、懇願して言った。「神の人よ、どうか私のいのちと、このあなたのしもべ五十人のいのちをお助けください。1:14 ご承知のように、天から火が下って来て、先の二人の五十人隊の長とそれぞれの部下五十人を、焼き尽くしてしまいました。今、私のいのちをお助けください。」1:15 主の使いがエリヤに「彼と一緒に下って行け。彼を恐れてはならない」と言ったので、エリヤは立って、彼と一緒に王のところに下って行き、1:16 王に言った。「主はこう言われる。『あなたが使者たちをエクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てに遣わしたのは、イスラエルにみことばを伺う神がいないためか。それゆえ、あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」1:17 王は、エリヤが告げた主のことばのとおりに死んだ。そしてヨラムが代わって王となった。それはユダの王ヨシャファテの子ヨラムの第二年のことであった。アハズヤには息子がいなかったからである。1:18 アハズヤが行ったその他の事柄、それは『イスラエルの王の歴代誌』に確かに記されている。 韓国語では、一度行くと連絡が取れず戻ってこないことを「咸興差使」(ハムンチャサ)と言います。朝鮮初期、太宗が政権を握る過程で非道な行為を行ったため、父である太祖李成桂が故郷の咸興に下ってしまいました。太宗は咸興に使者を送り迎えに行かせましたが、李成桂は馬に乗って使者を殺したと伝えられています。勅命を受けて使者として行ったが殺されたので、可哀そうなことです。その後、行ったきり戻ってこない人を「咸興差使」と呼ぶようになりました。後に李成桂が信頼していた無学大師が説得して漢陽に連れて行きました。無学大師は李成桂をうまく説得して問題を解決しました。 今日の本文でアハズヤはまるで太宗のように何度も使者をエリヤに送りますが、エリヤの火が下り、アハズヤが送った五十人隊と長が行く度に死んでしまいます。まるで咸興差使のようにエリヤのところに行くと戻れないのです。三度目に使者として行った五十人隊長は、自分も殺されるだろうと思い、不安だったことでしょう。実際、その時にはエリヤとエリヤの神様を認めざるを得なかったのです。三度目の五十人隊長はエリヤに自分たちを殺さないようにお願いします。その時に神様がエリヤに命じてエリヤの心を変え、アハズヤに会いに行きます。こうして三度目の五十人隊長は死なずに、エリヤをアハズヤのもとに連れて行くことができました。 三度目の五十人隊長は神様の力を知っていました。彼の役割はエリヤの心を変える機会を提供しました。しかし、滅びるものには滅びる理由があります。アハズヤは父アハブが滅びるのを見て、自分もまた滅びながら、なぜ滅びるのか分からずに滅びます。エリヤがカルメル山でバアルとその預言者を殺す時も分からず、五十人隊長が火の中で滅びる時も分かりませんでした。三度目の五十人隊長は賢明な人です。利害関係が異なる二つの勢力の間で仲裁役を果たす柔軟性を持つ人を「ブリッジビルダー(Bridge Builder)」と言います。橋を架ける人です。状況を判断し、神と世の間に橋を架けられる柔軟な人が必要です。