ネヘミヤ 黙想 【悲しむ一人】 20240902(月) 枝川愛の教会 趙鏞吉 牧師
ネヘミヤ 2:1~102:1 アルタクセルクセス王の第二十年のニサンの月に、王の前にぶどう酒が出されたとき、私はぶどう酒を取り、王に差し上げた。それまで、私は王の前で気持ちが沈んでいたことはなかった。2:2 すると、王は私に言った。「病気でもなさそうなのに、なぜ、そのように沈んだ顔をしているのか。きっと心に悲しみがあるに違いない。」私は非常に恐れて、2:3 王に言った。「王よ、永遠に生きられますように。私の先祖の墓がある都が廃墟となり、その門が火で焼き尽くされているというのに、どうして沈んだ顔をしないでいられるでしょうか。」2:4 王は私に言った。「では、何を望んでいるのか。」私は天の神に祈ってから、2:5 王に答えた。「もしも王が良しとされ、このしもべにご好意をいただけますなら、私をユダの地、私の先祖の墓のある都へ遣わして、それを再建させてください。」2:6 王は私に言った。王妃もそばに座っていた。「旅はどのくらいかかるのか。いつ戻って来るのか。」王はこれを良しとして、私を遣わしてくださることになり、私は予定を伝えた。2:7 また私は王にこう言った。「もしも王様がよろしければ、ユダに着くまで私が通行できるように、ユーフラテス川西方の総督たちへの手紙をいただけるでしょうか。2:8 そして、宮の城門の梁を置くため、また、あの都の城壁と私が入る家のために木材をもらえるように、王家の園の管理人アサフへの手紙もお願いします。」わが神の恵みの御手が私の上にあったので、王はそれをかなえてくださった。2:9 それで私はユーフラテス川西方の総督たちのところに行き、王の手紙を彼らに手渡した。王は、軍の高官たちと騎兵たちを私とともに送り出してくださった。2:10 ホロン人サンバラテと、アンモン人でその部下のトビヤは、これを聞いて非常に不機嫌になった。イスラエル人の益を求める者がやって来たからである。 ■ネヘミヤは、バビロン捕囚の際に連れ去られたユダヤ人の子孫です。時間がかなり経っているので、3世代目か4世代目であったと思います。彼は、ダニエルのようにペルシャ帝国の5代目の王、アルタクセルクセス1世から信頼を受けていた高位の官僚でした。ネヘミヤがペルシャ政府で働いていた頃、すでにユダヤ人は本国に帰還していました。1回目の帰還であるゼルバベルの帰還から考えると、帰還が始まってからすでに100年が経っていたところです。 ■それほど時間が経ったにもかかわらず、ユダとエルサレムが復興されていないということは周辺がユダヤ社会の再建を妨げていたからです。城壁が崩壊した状態で、都市は外部の脅威に無防備にさらされていました。そのため、社会の再建に集中することができず、そのような状態が長引くにつれて、帰還した民は疲弊していきました。100年であれば、何からの回復であり、何のための再建であるのかすら分からなかったかもしれません。城壁が崩壊したままであることは、まだ精神的に捕囚と奴隷の状態に陥っていることを示しているかもしれません。 ■ネヘミヤは一度も訪れたことのない祖先の地エルサレムの困難な状況を聞き、悲しみ、エルサレムの城壁を再建することを決意して王に願い出ました。城壁を築くことは、財政や人材、技術を必要とする国家の基幹事業です。支援が必要だったでしょう。ペルシャの王はネヘミヤの悲しみを理解し、彼がエルサレムに行って城壁を再建することを許可し、支援を与えることにしました。崩壊するのはあっという間ですが、再び築き上げるのは本当に骨の折れる仕事です。ネヘミヤが捕囚の子孫から王の信頼を得る高位の官僚になったのには理由があります。神様は、崩壊したことを悲しみ、それに対して責任を負おうとする一人の人を通して働かれるのです。