ネヘミヤ 黙想 【ネヘミヤのマルチタスキング】 20240907(土) 枝川愛の教会 趙鏞吉 牧師
ネヘミヤ 4:15~234:15 私たちの敵が、自分たちの企みが私たちに悟られたこと、神がそれを打ち壊されたことを聞いたとき、私たちはみな城壁に戻り、それぞれ自分の工事に当たった。4:16 その日以来、私の配下の若い者の半分は工事を続け、もう半分は、槍、盾、弓、よろいで身を固めていた。隊長たちがユダの全家を守った。4:17 城壁を築く者たち、荷を担いで運ぶ者たちは、片手で仕事をし、片手に投げ槍を握っていた。4:18 築く者はそれぞれ剣を腰にして築き、角笛を吹き鳴らす者は私のそばにいた。4:19 私は有力者たち、代表者たち、およびそのほかの人々に言った。「この工事は大きく、また範囲は広い。私たちは城壁の上で互いに遠く離れ離れになっている。4:20 どこででも、角笛が鳴るのを聞いたら、私たちのところに集まって来なさい。私たちの神が私たちのために戦ってくださるのだ。」4:21 こうして私たちはこの工事を進めたが、その半分の者は、夜明けから星が現れるまで槍を手にしていた。4:22 そのときまた、私は民に言った。「それぞれ自分の配下の若い者と一緒に、エルサレムの内側で夜を明かすようにしなさい。そうすれば、夜には見張りがいて、昼には働くことができる。」4:23 私も、私の親類の者も、私の配下の若い者たちも、私を守る見張りの人々も、私たちの中のだれも服を脱がず、水場でもそれぞれ投げ槍を持っていた。 ■城壁の再建を妨害しようとする者たちは、作戦が露見したことを知って攻撃をしかけませんでした。しかし、それで危険がなくなったわけではありません。そうした状況で緊張感が高まったユダの人々は、城壁再建工事と同時に警戒任務を並行して行い始めました。ネヘミヤは、民に一方の手に城壁工事の道具を持ち作業を続け、もう一方の手に敵と戦うための武器を持つよう指示しました。こうしてすべての民が昼は作業し、夜は警戒任務に当たるようになりました。また、緊急事態にはネヘミヤがラッパを吹き、全員が集まり戦闘に参加できるよう、非常体制が敷かれました。 ■大変な労働の後に眠ることができず、警戒任務に当たらなければならないことや、緊張感を解くことなく非常待機体制で生きることは、非常に辛いことです。体力的には無理があるように見えますが、不思議なことに、精神的な面では限界を超える新たなエネルギーが湧いてきます。生理学的な説明を借りれば、危機的状況ではアドレナリンというホルモンが分泌され、通常とは異なる覚醒状態となり、それによって迅速な判断力や問題解決能力が発揮されます。同時に多くのことを柔軟に処理できるマルチタスクの状態に入るのです。耐え抜き、乗り越える力が生まれるのです。 ■第1次、第2次世界大戦とナチスの時代の危機に活動したドイツの神学者カール・バルトは、時代の教会と神学に対して「宗教的な領域に留まることなく、社会問題にも関与すべきだ」という意味で、「片手に聖書、片手に新聞を持て」という有名な言葉を残しました。これも一種のマルチタスクの要求だと言えるでしょう。成熟した世界観は、さまざまな領域を一貫性をもって制御できるのです。ユダの民は、危機的状況において見事にマルチタスクを成し遂げ、その能力はリーダーであるネヘミヤにおいてさらに明らかになりました。ネヘミヤのプロジェクト遂行能力と危機管理能力は、まさにマルチタスクの才能を示していました。 ■限界を決めないでください。簡単に「無理だ」と言わないでください。たとえ状況が不利であっても、目的があると精神が働き始めます。それは限界を超え、潜在力が発揮され、能力が拡大されるでしょう。片手に持つ聖書は、66巻の神の御言葉として広がり、もう片方の新聞は、政治、経済、社会、文化のすべての分野にわたって広がるでしょう。工具を持つ手には城壁を再建する力が与えられ、武器を持つ手には共同体の安全を守る力が与えられます。それが繰り返されれば、危機を恐れない実力が身につくのです。